
「短歌の作り方」のページのアクセス数が多く、「子供向けのページを作って欲しい」との要望もあったので中高生向けに僕なりの短歌の作り方を書いてみようと思います。
このページにたどり着いて、短歌を詠んでみようとしている中高生の君は、おそらく国語や夏休みの宿題で短歌を作らなければならなくなった人だと思います。
いきなり「短歌を作ってこい」と言われても困るよね。
一つずつやりかたを書いていこうと思います。
あなたの「今」を短歌で表現してみる
まず、あなたが今なにをしているかを書いてみましょう。
例
・疲れたからダラダラ椅子に座ってる
次にあなたが見ている景色や、あなたがいる場所、あなたの状況を書いてみましょう。
例
・プールの授業終わった5限目
できましたか?
ではそれを組み合わせてみましょう。
・疲れたからダラダラ椅子に座ってる × プールの授業終わった5限
どうですか。「良い短歌」ではないけれど実はこの時点でだいたい「短歌」になっています。
あとは57577に言葉の数を揃えればもう短歌なんです!
・疲れたからダラダラ椅子に座ってるプールの授業が終わった5限
プール上がりの君の疲れた感じが僕には伝わってきます。
具体的に書けるところを具体的に書く
上の作業、何分くらいでできましたか?
5分くらいじゃないかな?
まだ時間に余裕があったら、もっといい短歌に仕上げてみましょう。
さっきのダラダラしている短歌を例にすると「どこが疲れているか」「ダラダラと何をしているか」
「5限の授業が何なのか」など細かく書ける部分を具体的に書いてみましょう。
・疲れたからダラダラ椅子に座ってる × プールの授業終わった5限
↓
・疲れたからダラダラ絵地図を書いている × プール授業の後の社会科
どうですか?具体的に書くと読者に伝えられる情報が増え、面白い短歌にする事ができます。
君の日常を書いた短歌の良さは、若い君にはまだ分かりにくいかもしれません。
だけれど、この短歌を君のお父さんやお母さん、お爺ちゃんお婆ちゃんに見せたら、多分楽しんで読んでくれると思います。君だって20年後、30年後にこの短歌を読み返したら「あぁあの時こんな事考えていたなぁ」と、楽しく読み返してくれるはずです。
さて、ここで完成でもいいのですが、楽しく感じてくれていたらさらに一歩、歌人の道を進んでみましょう。
創作をする
僕のおすすめの方法を2つ書いてみます。
一つはノンフィクションの方法、もう一つはフィクションの方法です。
あなたが好きな方法でチャレンジしてみてください。
① 自分の気持をとびっきりの表現で書いてみる
まずはノンフィクションの方法です。あなたの気持ちを思い切った表現で書いてみましょう。
例えば
・疲れててダラダラ椅子に座ってるプール授業の後の5限目
この歌の「疲れてダラダラしている」はとても正直な表現だと思います。
でもこれはあなたが感じている気持ちの表現部分。ならばもっと自由に表現することができます。
どんな風に疲れているのかをあなたなりに表現してみましょう。
「死にそうなほど疲れて倒れている」
「子守歌が聞こえてきそう」
「羊が10頭乗ってるみたい」
「机と体が一つになりそう」
「気持ちが空に溶け込んでゆく」
いくつか書き出したらそれに下の句に合わせてみましょう。
・死にそうなほど疲れて倒れているプール授業の後の5限目
・子守歌が聞こえてきそうプール授業の後の5限目
・美しい羊が10頭乗っているプール授業の後の5限目
・机と体が一つになりそうプール授業の後の5限目
・気持ちが空に溶け込んでゆくプール授業の後の5限目
どうですか?読んでいて楽しい短歌になってきましたね。
特に下の3つは言葉を整理すればおもしろい歌になりそうな気がします。
あなたの独自の表現の言葉を色々入れてみてください。
②フィクションで楽しさを出す
次はフィクションの方法です。短歌で書く内容は必ずしも本当である必要はありません。
面白い作品であればフィクションでもいいんです。
例えば
・疲れててダラダラ座ってる × プール授業の後の5限目
ここにフィクションを加えてみましょう。
「5限目」はさっきまで「社会科」でしたが、これを「美術部」に変えてみます。
・疲れててダラダラ座ってる × プール授業の後の美術部
ちょっと特殊な場面が想像できておもしろくなってきました。
次に「美術部」に合った言葉を上の句に入れてみましょう。
・疲れててゆがんだ顔を描いている × プール授業の後の美術部
さらに次は「ゆがんだ顔」から想像できる言葉を入れてみましょう。
・疲れててピカソの画風が近くなる × プール授業の後の美術部
なんだか楽しい短歌になったと思いませんか?
「疲れてて」も変えてみましょう。
・真っ青なピカソの画風が近くなる × プール授業の後の美術部
「美術部」は「吹奏楽部」とか「バスケの試合」とかでも面白いものができる気がします。
いろいろ入れて試してみてください。
上の句と下の句のつながり方が短歌の醍醐味だと僕は思います。
作品を読んだ後、読者に面白さや寂しさ、しんみりさが伝わると短歌大会で入選する可能性もぐっと高くなります。
いろいろな言葉を入れて試して、 面白い短歌を探してみてください♪